Feature

Neb aaran do by ネバアランド デザイナー
 Eily & Jammyインタビュー

CTDI_NAVER_19

2012年に入賞を果たし、今では都内にショップを持つまでに成長したNeb aaran do by ネバアランド(以下、ネバアランド)は、EilyとJammyの二人からなるユニットブランド。11年前の出会いから、決して簡単ではなかったブランドのここまでの道のりを振り返ってもらいつつ、今後の目標、そしてついに今週末に迫ったパリ開催のJAPAN EXPO 2016 でのファッションショーへの意気込みなどを聞いた。

―二人の出会いを聞かせてください。

Jammy(以下J):多摩美の学生の頃、2005年にはすでに出会っているので、かれこれ11年になります。

Eily(以下E):私はその頃からすでにブランドをスタートしていて、手作りの服をイベントで販売したりという感じでした。ちょうど、森ガールの流行が終わりかけぐらいの2006年に、2人で「Eily K Jammy」というユニットを組み始めたのが二人でやるようになったきっかけです。

CTDI_NAVER_8 CTDI_NAVER_9

二人のアルバムから。【写真上】左下がEilyさん。【写真下】Jammyさん。今に通ずるキャラクターを感じずにはいられない!

―その頃から息の合ったコンビでしたか?

E:今でこそしっくりきているけれど、テイストはまったく合っていなかったです。かといって他のクラスメイトにもなじめず、二人してどこか浮いていましたね。

J:私から見ると、Eilyは見たこと無い不思議な感じの人でした。

E:Jammyは当時はドギツイ感じ。う~ん、森ギャル男みたいな(爆笑)。髪が長いけれど、男らしさがにじみ出るような。

J:そう!よくオダギリジョーみたいって言われてました!

―ブランドに本格的に取り組むのは卒業後ですか?

E:2009年に卒業後、私は昼にアルバイトとブランド活動をしながら夜は文化服装学院の二部で服作りを学んでいました。

J:私はデザインの会社でシスタントをしながら、ブランド活動をしていました。ブランドスタートは2010年ですが、そこまでの道のりがまた長いのです。

CTDI_NAVER_11

2012年2学期 model:雪

CTDI_NAVER_12

2013年3学期 model:雪

CTDI_NAVER_13

2014年1学期 model:街子 / hair:Ran(Chantegram)

CTDI_NAVER_14

2014年2学期 model:Heily / hair:Ran(Chantegram)

CTDI_NAVER_15

左が2015年2学期で、左が3学期 model:Heily / hair:Ran(Chantegram)

CTDI_NAVER_16

2015年に初めて浴衣に取り組んで、ヒット商品となった。カラスと彼岸花の取り合わせや赤と黒、そして白のカラリングは彼女達らしさでもある。photo: Shingo Hikiami

―そうやって迷いながらも二人の好きな世界を築くためのベース作りを着々としていたわけですね。とはいえ、シーズンを学期で表現してみたり、地方での展示会をツアーとネーミングしてみたり、どうしようもなくオリジナルな人達と思うのですが、そういったアイディアはどこから来ているのですか?

J:最初からそういう世界を作ろうと意識してブランディングしたんです。実はデザイン会社でアシアスタントしていた経験がリアルに役に立っていて。その会社はブランディングもしている会社でしたし、当時、私達の活動をとても応援して下さっていたので、ブランドの立上げにどう応用するか模索していました。そうして作ったイメージや商品を、初めはいろんな人に見てもらったり、ヒアリングしていきました。赤とか紺の服ではなくて、黒にしたほうが売りやすいのではなど。いろんな意見がありましたね。そうしているうちに、私達がやりたいことはいったい何!?という命題に行きつくわけです。

E:結局のところ、マスに向けるか、コアに向けるかを考えて、上がってきた検討事項を一個ずつ確認していったらこうなった。つまり「無理やり制服を着せられて反発していた学生時代を肯定するために、もう一度制服にチャレンジする」それがネバアランドの道なのだなと。私達の服を好きといって下さったのは、もともと服には興味がなかったというかたも多かったです。私達の服に出会って、おしゃれに興味を持ったというかたからの声は嬉しいですね。

―その頃には台東デザイナーズビレッジ(略してデザビレ)には入居していたのですか?

J:実はデザビレには一度落ちているんです(笑)。二人の将来を心配した私の母が、こういう場所があるみたいよって教えてくれたのですが、見事落ちてしまって。

J:入居のために、事業計画書を提出するのですが、それが今考えるとひどかったと思います。雰囲気だけで書いていた(笑)。お金に関しても支離滅裂だったはずです。ブランディングも自分達の中ではできているのですが、それを言葉に落とし込んで人に伝えるテクニックがまだまだでした。

E:ところがデザビレを落ちたのと同じくらいのタイミングで、セレクトショップでの取り扱いが決まったんです。とっても嬉しくて。たった1店舗決まっただけで、これで食べていけるかもしれないと思い込んでしまって。楽観的ですね。でも未来に繋がる道が開かれた気がしました。

CTDI_NAVER_10

台東デザイナーズビレッジの卒業イベントで、活動報告をしているところ。

―そこからまた体制を整えて、デザビレに再チャレンジしたのですね。入居が決まってどうでしたか?

E:ブランドのモチーフが制服で、アトリエが学校の校舎ですから、どこで撮影してもぴったりで嬉しかったですね。お客様が増えてきて、取扱い店舗数も増えてきて。でも実はその時点でもまだ世の中になじめない自分達がいて。何も知らないのに「普通のアパレルなんていやだ!」と思ったり、「AWとかSSなんて!!」とか、一般的にオシャレと言われる人への反発がありました。いや、それは今でもあるかな? それでコレクションの発表形式を小学校のような3学期制にしようという案も、デザビレに入るときに決めました。デザビレの村長にはいろいろアドバイスいただいて、本当に勉強になりました。

CTDI_NAVER_5

ネクタイはデザビレの産地ツアーで出会った、富士吉田の渡小織物さんとのコラボ。

CTDI_NAVER_7

喜井カオリさんとのコラボこけし。表情や細やかな仕草が気に入っている。

―その頃はどのような営業活動をしていたのですか? WEBサイトも分かりやすく親切ですね。

E:商品を持って気に入ったお店に突撃するんです! 商品を持って夜行バスに乗って大阪のイベントに出かけるんですが、一着も売れないんですよ。でもそれでくじけてはだめだ!って自分達に言い聞かせて。スーツケースを引きずりながら街を歩いて、下調べもしないで直感だけを信じて突撃しました。ネットで調べて電話したりもしましたけれど、だいたい断られましたね。「誰だ、お前?」って感じです。強くなりますよ! ほめていただいたWEBサイトも、当初は今のような感じではなくて。分かりにくくてホラーでした(笑)。私はいつも人を“ぎょっとさせたい”とか、女の子の“毒”の部分を出していきたいという気持ちがどこかにあって。Jammyがそれをオブラートに包み、最終的にキャッチ―に仕立て直してくれるんですね。

J:詳しく説明すると、「ネバアランド」は1度死んだあとに辿り着く感じにしたい!ということで、 トップ画面の女の子の足にマウスを乗せると、足が消えて赤い靴だけが残るという。入り口でいきなり女の子が飛び降りるというものだったんです。かなりホラーでした(笑)。サイト解析を見るとトップ画面を見て帰ってしまう人が80%くらいいて、つまりほとんどがトップ画面をみた瞬間に帰ってしまっていたという。方向は間違っていないのだけれど、出す分量が多いというか。今のロゴにある赤い靴はその名残です。

CTDI_NAVER_4

オリジナルシューズには思いのたけを詰め込んだ!

―実際に海外からの問い合わせに備えて、サイトを多言語化にしたりもしましたね。

J:準備万端で2013年にはジャパンエキスポに出展させていただきました。海外の販路開拓はエキスポに出たおかげです。ところが海外も思っていたほどには簡単にはいかなくて。想像していたのとは大きく違いました。サイズの問題もそうですし、日本以上にかわいい系の服を着る人の人数が少ないんだなと分かりました。それでもイベントに来て下さった一人一人のかたに感謝の気持ちもありましたし、すごいアウェイでも頑張る気持ちとか初心を思い出しました。自分達はそれぐらいのことをやっていきたかったんだと再認識したわけです。

―ショップを持つ事ができてどんな気持ちですか?

E:去年くらいにツアーのくり返しで活動していることに変化をつけたくなって、それでショップを持つ事を考え始めました。本格的なオープンは4月だったので、やっと2ヶ月くらいですが、これもまた思っていたほど楽ではなくて。お付き合いのある小売りのかたやショップスタッフのかたに、改めて尊敬の気持ちでいっぱいです。物を売る事は本当に大変なことで、しっかりと良い品物を作らなければと思いました。とはいえ自由に使えるスペースを持ったのですから、ショップを成長させるための一本の柱をしっかりさせたいと思っています。世界感も含めて、今まで以上に品物に広がりをもたせたいので、9月のコレクションをお休みして、企画の期間を長くとって軌道修正します。1月の発表を楽しみにしていてください。でもショップは閉めませんから、ご安心ください!

CTDI_NAVER_1

ショップは西荻窪駅から徒歩3分。古い建物のリノベーションが盛んなエリアにある。

CTDI_NAVER_2

ショップ店内。

CTDI_NAVER_6

ショップ奥の小さなアトリエ。

CTDI_NAVER_3

壁一面にロゴをペイント。

―制服を着せられることに反発した思春期から、二人とも大人になり、子供服をスタートするなんて物語もありえますか?

J&E:一周してそこに行きつくなんてことも、あってもいいかもしれないですね!

―今週末にとうとうジャパンエキスポ2016に参加しますね。

J:海外販路のきっかけになるように、二人そろってしっかり頑張ろうと思います。特に今年はファッションショーに参加できるので、有意義なアピールの場にしたいと思います。

E:ブランドの方向性や可能性を広げたいと考えているタイミングで、海外でこういうショーを行うチャンスがあるのは嬉しいです。現地モデルに着てもらうことも新鮮ですが、会場に来てくださったかたがどんな感じに反応してくれるかが今から楽しみです。いつもどおり体感して考えて、前進あるのみです!

CTDI_NAVER_20

2013年に初めてエキスポに行った!

CTDI_NAVER_17

ジャパンエキスポがきっかけで、パリで開催のイベントからも声がかかるようになった。

CTDI_NAVER_18

昨年パリでのイベントに集まってくれた海外のファン達。

PROFILE

Eily / Jammy 
共に多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻グループⅢ(現在美術)卒業。2006年にユニットEily K Jammyを結成。Eilyはその後、文化服装学院のⅡ部服装科にてパターンや縫製を学ぶ。Jammyは㈱ウジパブリシティのアシスタントにて経験を積む。2010年ネバアランド立上げ。2011年台東デザイナーズビレッジ入居。2012年にTokyo 新人デザイナーファッション大賞事務局プロ部門に入賞。
official site:http://nebaarando.com/
social link:> twitter  > facebook

 
PHOTO : Hiroyuki Takashima
一覧にもどる
トップへ