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Motohiro Tanji デザイナー 丹治基浩 インタビュー

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2013年に入賞して今年の3月までの3年間、プロ部門のサポートを受けていたMotohiro Tanjiデザイナーの丹治さんにインタビュー。ニットブランドとして注目されるMotohiro Tanjiは、日本のファッションウィークの中でも独特の存在感を放っている。今回は普段あまり多くを語らない丹治さんに、布帛からニットに方向転換したきっかけや、自身が先生をするニット教室についてまで語ってもらった。

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かなりさかのぼりますが、ニットの世界を志したきっかけを教えてください。

もともとは特にニットへのこだわりはなく普通にファッションデザイナーを志している学生でした。そこからニットの道を選んだきっかけになったのはサンドラ・バックランドというスウェーデンのデザイナーの作品を見てからです。棒針で立体的な作品を作るデザイナーでニットでこんな事が出来るんだと衝撃を受けてとても興味を持ちました。当時、僕がニットに対して抱いていたイメージは、おばあちゃんの手編みのような、古臭いイメージしかなくクリエイティブなイメージはなかったので、立体的で幾何学的な構造のサンドラ・バックランドの作品がとても新鮮に感じて、ニットの新たな魅力に気付かされたんです。彼女がいなければ、ニットはやってなかったと思います。

そして布帛からニットに変更してイギリスに留学して、就職もしていますよね?そこからどのようにブランドを立ち上げたのか、そのときの様子を教えてください。

英語圏で勉強したいと思っていたのでイギリスのノッティンガムトレント大学でニットを学びました。卒業後はイギリスのニットテキスタイル会社に勤めていました。新しい編地を考えブランドに編地提案したりする仕事でした。帰国するタイミングはビザの関係で決まっていて、日本に帰ったらブランドをスタートしようと決めていました。それでまずイギリスでブランドを立ち上げる準備をしはじめたのですが、とにかく工場さんとやりとりする経験など全くなかったので何も分かっていませんでした。最初のコレクションは5〜10型くらい作るのがやっとでコレクションといえるようなものではありませんでした。正確には帰国してから作った2シーズン目からブランドを正式にスタートしました。

プロ部門に応募したきっかけは?

応募した時点ではブランドを始めて2シーズン目だったので、とにかく右も左もわかっていなかった時期でしたね。ファッション大賞のことは、合同展を一緒にやっていたdivkaから教えてもらったのがきっかけで知りました。もともとアマチュア部門の存在は知っていたのですが、プロ部門があることをそこで知り、応募してみようかなと思って。実際には支援内容などをしっかり把握できていなかったのですが、とにかく体当たりでしたね。

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2016-2017 AW EXHIBITION at NEST +plus PASSAGE

プロ部門の支援を受けて良かったことは何ですか?

ブランドを始めたばかりだったので、まずは展示会の費用の一部を支援してもらえることがとても助かりました。業界の人がたくさん集まるファッションウィークシーズン中に、渋谷ヒカリエなどで展示スペースのキューブやコートを借りられたことも、すごく良かったです。そうして展示会を重ねるうちに、やはりブランドの認知度を高めるためにも、ファッションショーをしたいという思いがありましたが、そのためには支援を受けているこのタイミングだと思いショーをやることにしました。

今回で三回目のショーはどうでしたか? また、今後についてはどう考えていますか?

1、2回目のときはニットの可能性を全面に押し出した、ニットの魅力やニットにしかできないことにフォーカスしたコレクションというのを心がけて、思った通りに見せることができたと思います。だから今回の3回目のショーは、さらにニットのリアルな着方の提案というのを目標にして、スタイリングをだいぶ変えて、日常らしさをミックスして表現しました。見せたいものを見せたい形で提案できましたし、周囲の反応も思っていたより良くて手ごたえがありましたね。今後は少しやり方を変えて、ショーは秋冬でのみ行っていきたいと考えています。ニットはやはり秋冬のほうが見ごたえがあって多様性も表現できるので。ニットブランドのショーのあり方として、ひとまずはそういった形をとりたいと思っています。

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Motohiro Tanji 2016-17 AW COLLECTION

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Motohiro Tanji 2016-17 AW COLLECTION

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Motohiro Tanji 2016-17 AW COLLECTION

ニット教室も開いていますね。実験的で今後の展開が楽しみな企画と感じます。

そうですね、ニット教室を始めた理由は、日本のニット業界のクリエイティブなエリアは海外に比べてまだ成熟していないように感じたからです。ニットを使って、よりクリエイティブで自由な発想を形にすることのできる人材が少ない気がしました。もともと人に何かを教えることが好きだったので、今後のニット界のキーパーソンとなる人々を育てられるかもしれないと思ったのと、僕のブランドを知ってニットに興味を持ってくれる学生が結構いたこともあって、始めてみました。卒業生には、既にニット業界で働き始めた学生もいますが、今後も教室に参加した学生が僕のブランドやニット業界に入って即戦力になっていってくれたら嬉しいなと思っています。

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KNITTNG SCHOOL at coromoza

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初期の作品。充分に練られたモノ作り。

Motohiro Tanji Texture Creation http://www.motohirotanji.com/texturecreation.html

PROFILE

丹治基浩 Motohiro Tanji
文化服装学院を中退後、イギリスのノッティンガムトレント大学 MAニットウェアデザイン科を首席で卒業。卒業後は様々なメゾンにニットテキスタイルを提供するAcorn Conceptual Textilesに勤務し、2012年に自身のブランドでの服作りをスタートした。

official site:http://www.motohirotanji.com/
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TEXT : 横山沙織 Saori Yokoyama / PHOTOGRAPHS : 髙島啓行 Hiroyuki Takashima
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