Collaboration

CINOH×VERB CREATION

ISETAN NUMBER TWENTY-ONE × CREATORS TOKYO
コラボレーション インタビュー vol.2

このコラボレーションの企画が立ち上がった時に、真っ先に動き出したのがCINOHデザイナーの茅野さんだ。今までに無い取り組みは、伊勢丹バイヤーの小木曽さんが経験と感を生かして選んだVERB CREATION(ヴァーブクリエーション)との出会いで、実現可能となった。三人に、スタートから2シーズン目を作り終えた今までの経緯を語ってもらった。

—まずはデザイナーと工場のマッチングについてお話を聞かせてください。

小木曽愛 Ai Ogiso
2008年三越伊勢丹入社。2010年よりアシスタントバイヤーとしてナンバートゥエンティワンの立ち上げに携わり、2015年度ナンバートゥエンティワンの担当バイヤーに着任。

小木曽:この企画の説明会が昨年の5月にあり、
その翌月には茅野さんの展示会が予定されているという状況からのスタートでした。茅野さんがやりたいと言っていたのはスニーカーだったので、最初はスニーカーを作れる工場を探したんです。本気のスニーカーを作れるところは姫路や久留米などにファクトリーがあるのですが、茅野さんのお話を聞いているうちに、ベーシックなイメージのスニーカーを作りたいわけではなく、むしろデザインを究極まで整理して削ぎ落としたデザインをスニーカーに取り込むことをイメージされているのだと感じました。それで小回りがきいてセンスのあるヴァーブクリエーション(以下、ヴァーブ)さんにお願いしたいなと思ったのです。ヴァーブさんには以前、レザースニーカーを作っていただいたことがあって。とにかく時間が無かったものですから、ベースがあるものから派生させていったほうがイメージがしやすいかなと思ったのも、ヴァーブさんにお願いした理由の一つです。

中川宏明 Hiroaki Nakagawa
株式会社Verb Creation(ヴァーブクリエイション)代表。ECO & Made in Japanの靴を世界に発信する為に同社を立ち上げた。http://www.verb-creation.com/

中川:僕は面白そうな取り組みだなと思ったので、快く引き受けさせていただきました。弊社も普段からコレクションブランドとの仕事をさせていただいています。小木曽さんもそのことを理解した上で、依頼してくださったのだなと感じたので。デザイナーの茅野さんとも年齢がまあまあ近いので、感性を理解し合える部分があるかなと思います。どうしても靴屋さん、製造業の職人さんって年配のかたが多いので、選ばれた理由は良く理解できました。

小木曽:そうですね、ヴァーブさんはファッションの話ができる、数少ない工場と思っています。

ー茅野さんがデザイン画を描くところから製作は始まったのでしょうか。一緒に作ってみてどうでしたか?

茅野誉之 Takayuki Chino
文化服装学院ファッション工科専門課程アパレルデザイン科卒業。文化ファッションビジネススクール修了。2007年MOULD設立。14年SSコレクションからブランド名をCINOHに。http://www.cinoh.jp/

茅野:まず僕は手描きのラフを描きましたね。あとはイメージの参考に、私物の靴を持って行きました。今回はドレスシューズとスニーカーの間のようなものを作りたいなと思っていたんです。

小木曽:中川さんはいつも、私と茅野さんがイメージに近いものを見せながらたどたどしく説明していると、それを絶妙なさじ加減で吸い上げて具体化してくださる!

中川:けれど、洋服を作っている人と靴を作っている人が描く絵は、これが結構違うんです!

茅野:そうなんですよね、どちらも型紙がありますが、洋服は紙のパターンから作り出しますが、靴の場合はお菓子のように型にはめて形作るので、後からの変更がしにくいんですよ。結構細かいディテールの変更…例えば、この部分は断ち切りにしたいという希望も、洋服であれば縫い代を無くして仕様の微調整でいいだけですが、靴はそうはいかないんですよね。

小木曽:そこのギャップは結構大きいですね。

中川:2016AWの商品作りで大変だったのは、スニーカーの内側にボアがあるデザインですね。とはいっても、僕らは裏方なので作ることが全て。できるだけ茅野さんが抱くイメージ通りに具現化できるよう努めました。

最初の全体説明会は、靴売り場の閉店後に行われた。
すべての始まりは、昨年2015年5月の売場での説明会から

茅野:僕は洋服でもそうなのですが、結構細かいところが気になるタイプなので、この変更はできるかどうかという擦り合わせをひとつずつ確認し、ジャッジしながら進めました。今回は靴における物づくりという観点で、色々勉強になりました。

小木曽:茅野さんの気になるポイントはやっぱり私たちとは違いましたね。あ、そこなんだ!みたいな驚きがありました。茅野さんからの修正どおりにしたら、さぞかし素敵だろうなと思う部分がたくさんあったのですが、製造上できないこともどうしてもあって。最終的にはヴァーブさんに頑張ってもらったところもあるし、茅野さんに諦めてもらった部分もあります。回を追うごとにこういったやりとりは減って、スムーズになっていくのではないかと思います。茅野さんがこだわりたい部分は私たちには目の届かない部分だったりもして、確かにそうするともっと格好良くなるな、という発見がたくさんあって新鮮でしたね。ソールもオリジナルで作りましたもんね。

茅野:そうなんです。どうしても厚みのあるソールを使いたくて、作っていただきました。

小木曽:たぶん私と中川さん二人だけだったら、お金と時間のことを考えて断念してしまうのですが、「それがないと成り立たない」と茅野さんがおっしゃって実現しました。ヴァーブさんはそのリクエストに合わせて超特急で作ってくださいました。

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テーブルの上にあるのが、コラボシューズ。一番左にあるのが、スニーカーの内側に ボアのあるデザイン。白やヌードカラーは、CINOHブランドらしい色使い。

シューズの指示書。これをもとにサンプルを仕上げる

ひもの通し方ひとつで、スニーカーの表情が変化する。茅野さんから「ひもの通し方が違うんですよね。これはドレスシューズなので、シングルに通してほしいんです」と言われ、丁寧にひもを通し直す中川さん。

—今回の仕上りや、バイヤーからの反応について聞かせてください。

茅野:今回の仕上がりには満足しています。3月のパリのTRANOIにも持って行きます。(このインタビューは2月末)

小木曽:きっとこれは売れると思います! 私も頑張って売りたいと思います!

茅野:そうですか? 洋服のバイヤーさんはうちのブランドが靴を作っていると知らないし、靴のバイヤーさんにとっては知らないブランドということで、結構抵抗があるのではないかなと思ってしまいます。売上げも含めて、服は経験から俯瞰で見ることができるんですが、靴は市場も違うし想像できないんですよね。ものとしては通用する自信はあるんですけれどね(笑)

小木曽:1月に行われた、パリのプルミエールクラスにNUMBER TWENTY-ONEとして初出展したのですが、日本人バイヤーのかたがたは「CINOHって、靴も作っているんだ!」と、敏感にリアクションしていましたね。手に取って見てくださるかたが多くて、試着されるかたも結構いました。茅野さんの靴は特にイタリア人の反応が良かったですね。イタリア人はスニーカーが好きですよね。「他にはないテイストで、削ぎ落とされたデザインが日本らしいね」、などと言われました。きれいなものをきれいなままに仕上げるのが日本らしいようです。

茅野:そうなんですね。なぜか洋服もイタリア人には人気なんです。ヨーロッパで取引しているのは今はイタリアだけですし、ショールームなどに誘われるのもイタリアばかりですね。

小木曽:ファッションはもちろん、素材に関しての認識も高い国のかたが褒めてくれたことが、とってもうれしかったです。

中川:やっぱり今回の取り組みは面白かったですね。靴のプロの伊勢丹さんと僕たちと、洋服のプロの茅野さんとの三角関係から生まれるモノ作りは新鮮で面白かったです。

茅野:実はもう次のシーズンに作りたいデザインを考えています。

小木曽:来月あたりから始めましょうか!

画像:制作風景

1.型入れしたレザーを裁断中。人の手で行う裁断方法は「手裁ち」と呼ばれる。

画像:制作風景

2.カットしたパーツ同士をミシンで丁寧に縫い合わせて。

画像:制作風景

3.縫い合わせたパーツの縫い代を金槌で叩いて、カーブ状にくせづけ。

画像:制作風景

4.ブラシで素早く糊付けをしている。これはスニーカーのタンの部分。

画像:制作風景

5.靴作り職人に欠かせない道具が多く並ぶ作業台は、コンパクトでコックピットのよう。

画像:制作風景

6.アッパーを木型に沿わせて形を作る、つりこみという工程を終えた状態。

画像:制作風景

7.靴を作るための原型となるラスト(木型)。これはプラスチック製のタイプ。

画像:制作風景

8.工場好きにはたまらない作業現場の光景。

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企画・営業の木村重雄さんも加わり、全員そろって、記念撮影!

TEXT:横山沙織 Saori Yokoyama / PHOTOGRAPHS:髙島啓行 Hiroyuki Takashima

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