Collaboration

ISETAN NUMBER TWENTY-ONE × CREATORS TOKYO コラボレーションインタビュー

伊勢丹 宗友吉論氏インタビュー

CREATORS TOKYO(以下、CT)のデザイナーのうち、約6ブランドが参加してスタートした、伊勢丹とのシューズコラボ企画。その取り組み全体の責任者である、バイヤーの宗友吉論さんにインタビュー。このコラボ企画をスタートしたきっかけと、商品への思い。若手ファッションデザイナーと靴のファクトリーをつなぐことで生まれた新たな世界の発見。そして出来上がったシューズの海外初のお披露目となったパリのプルミエールクラスで感じたことなどを伺った。

バイヤーにとって「買って来て並べればいい」というだけの時代ではなくなった。始まりは”買うものがないなら作ろう!”という発想。

伊勢丹新宿店の婦人靴コーナーの店頭には、常に約4000足もの靴があります。しかし、ほとんどのお客様が、購入せずに帰って行かれます。残念なことに。足に合わない、サイズがなかったなどという場合は仕方がないですが、何か顧客の心を打つ仕掛けが必要と感じていました。「世界最高のファッションミュージアム」と宣言している店であるからには、もっとファッションとして刺激的なことをやっていきたいとも思っていました。と同時に、手に取りやすい価格にしてあげたいとも。なぜなら価格帯を見直したとき、たとえば5~10万円程の高価なラインの靴は、当然素敵なんですよね。では、もう一段安い3~5万円の靴はどうか?と、そのラインの商品を拡充させたいと思っても、ブランドやデザインが限られてしまっていてバイイングがしにくいわけです。結果、「買えないなら作ろう!」というのが僕たちの発想でした。そのためにはシステムを整えることも大切でした。靴は、一足作るのに新たに木型などを作れば、とってもお金がかかってしまい、さらにロットが少なければ結果的に価格を抑えることもできません。何足売れるかわからない小さなブランドが簡単にトライできるような土壌ではないからです。「靴をバイイングして来て、並べればいい」という旧来の考え方では、お店の独自性や個性、強みを作って行く上で差がなくなってしまいます。売れるブランドの靴は、どこのお店にもありますから。時代が変化して“いい靴”の定義も人それぞれ異なるので、それに答えていくためにも、まずは様々なクリエーターと作ってみようと考えました。そのうちの一つがCTとの取組みです。

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東京に根ざすクリエーターと共に、足元からインパクトを生み出し、東京を楽しくしたい。

東京ってすごく楽しくて変な街ですよね。街を行く人も、電車に乗っている人も、みんなおしゃれじゃないですか。こんな国は世界で見ても稀です。そんな土壌があるのに、ヒエラルキーはとても低い。東京って本当はもっと面白くて、もっと発信できるものがあるはずで、世界からもっと好きになってもらえる街だと思うのです。CTと取り組む中で意識したのは、そんな東京に根ざしているデザイナーと一緒にものづくりをすることで、足元からインパクトを生み出し、ファッション自体を楽しむ気持ちを、もっと発信していけたらということでした。

CTデザイナー達とタッグを組むことで、ものづくりをする上での可能性が大きくプラスオンできた。

今回のCTとのクリエーションにおいて一番の発見は、布を相手としてものづくりをするデザイナーならではの自由な発想と、ファクトリーの技術が合体することによって、今までに無い現れ方をしたことです。デザイナーの皆さんが自分たちのリソースを持ってきてくださったことで、デザインの可能性を大きく拡げられました。同じファッション業界でも、服と靴は違う業界ですよね。その境界線を超えて、ものづくりをする上での可能性を大きくプラスオンできたことが大きな収穫でした。そして今回のクリエーションの決め手は、やはりファクトリーとデザイナーとのマッチングだと思います。マッチングをする点で一番気にしたのは “デザインを具現化するための技を一番得意とする工場はどこか”という点ですね。もちろんどのファクトリーでも、ある一定のラインには仕上がってきます。けれど、デザイナーから出てくる、言葉では表現しにくいニュアンスや空気感を拾い上げてくれるのは、やっぱりあの工場だな!と考えていくわけです。また、ファクトリーの体制だったり、人柄も関わってきますね、組み合せってすごく大事です。

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パリで感じたこと。ひとつのイメージでは語れない東京。

パリの展示会での評価はやはり高かったです。東京がひとつのイメージでは語れないのと同様に、東京のファッションも多様性があるので、CTのテイストが違うデザイナー達によって、バリエーション豊富なラインナップに整えられたことで、多くの反響を得られたのが嬉しかった。全体的には、ファッションとして面白いというより、プロダクションとして面白いという感想が多かったのですが、人それぞれで反応が全然違いました。様々なテイストを作ったからこそ見られる反応でしたね。海外の展示会はこれからも継続的に参加していこうと思っています。
コストの面で課題はあります。せっかく良いものを作っても、高いと言われてしまったらどうしようもないので、クオリティを下げずに、作り方や考え方の部分をもう一度見直し、みんなから支持される方法を作っていきたいと思っています。どこの国からも遠い東京は、輸送料がどうしてもかかってしまいます。その背景をどうやってクリアしていくかを考えていかなければならない。海外で作ることも、一部検討しています。今後も基本の方向性やコンセプトは変えずに続けていきたいです。

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PROFILE

宗友良諭 Yoshisato Munetomo
2005年、(株)伊勢丹に入社。2012年より婦人靴バイヤーとして、NUMBER TWENTY-ONEの開発に携わる。NUMBER TWENTY-ONEでより良い靴を作るために、国内外の多くの工場を日々訪れている。

TEXT & PHOTO: 横山 沙織 / PHOTO(Still life): 土屋 純(B.P.B)

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